接点を持った学生を入社までつなぐ。Liny HRで取り組む採用の歩留まり改善
2026年11月01日
説明会を案内しても予約が入らない、メールを送っても読んでもらえない。採用活動では、候補者との接点を得た後にも、選考や内定承諾へ進んでもらうためのコミュニケーションが必要です。
ソーシャルデータバンク株式会社が提供する「Liny HR」は、LINEを活用して候補者との連絡や情報発信を行う採用管理ツールです。同社の櫻井勇人さんに、候補者の関心に合わせた配信の仕組みや、既存の採用管理システムとの併用、導入後の支援についてうかがいました。
ゲスト:櫻井勇人さん(ソーシャルデータバンク株式会社・HR事業部 営業課 課長)
聞き手:荻津陽(株式会社プロベル)
※本記事は動画の取材内容をもとに編集しています。役職、導入実績、事例の数値、支援内容は取材時点のものです。事例は各社での取り組みの結果であり、同じ成果を保証するものではありません。
3社の統合で、LINE活用の知見を持ち寄る体制に
荻津:以前は株式会社アローリンクとしてご出演いただきましたが、現在はソーシャルデータバンク株式会社として事業を展開されています。どのような背景があったのでしょうか。
櫻井さん:ソーシャルデータバンク、マネクル、アローリンクの3社が1つの会社にまとまりました。もともとのソーシャルデータバンクは、自治体や行政、大手企業のマーケティング向けに「Liny」を提供していました。マネクルは「Lステップ」を通じて中小企業や個人事業主の方を支援し、私たちは採用に特化したLINEのサービスを展開していました。
それぞれが持っていたLINE活用のノウハウを集約し、さまざまなお客様へ提供できるように意見交換を進めています。例えば、マーケティング向けにツールを使ってくださっている企業から「採用でも使いたい」というご要望をいただいたときに、Liny HRをご提案する、といった展開もできるようになっています。
荻津:櫻井さんご自身も採用の現場を経験されています。これまでの経歴と、現在の役割を教えてください。
櫻井さん:新卒でアローリンクに入社して、約8年になります。最初の2年ほどは自社の新卒採用を担当していました。当時は携帯販売代理店のグループ会社もあり、ショップで働く方を年間60〜70名ほど採用するため、戦略立案から実務まで担当していました。
その後は採用コンサルティングのチームに移り、上場企業の年間の採用活動を支援しました。戦略立案だけではなく、実務の代行や教育、コンテンツの企画・構成・納品なども経験しています。営業に移ってからは契約後のカスタマーサクセスも担当し、現在は新規営業と、営業責任者としてのチーム運営を行っています。
母集団を集めるのではなく、接点を採用につなげる
荻津:Liny HRは、どのようなサービスなのでしょうか。
櫻井さん:LINE公式アカウントにシステムを連携させ、学生さんや求職者の方とのコミュニケーションに活用していただくサービスです。解決したい課題は大きく3つあります。採用担当者の業務工数の削減、次の選考への予約率・参加率といった歩留まりの改善、そして内定承諾率の改善です。
私たちのシステムを入れると母集団が集まる、というものではありません。すでに接点を持った方々を、どう入社までつないでいくか。その部分を支援するサービスです。
荻津:採用管理システム、いわゆるATSとしての機能もあるのでしょうか。
櫻井さん:採用の管理もできるので、ATSという側面は持っています。ただ、学生の情報や選考ステータスを管理することだけが導入の目的ではありません。採用人数の目標を達成したい、採用の質にこだわりたい、予算を抑えながら採用効率を上げたい。そうした各社の採用課題を解決する手段として、Liny HRを使っていただくと考えています。
荻津:主な利用対象は新卒採用ですか。
櫻井さん:取材時点で約1,300社に導入いただいていて、そのうち約9割が新卒採用でのご利用です。残りは中途採用やパート・アルバイト採用、人材紹介・人材派遣会社での活用などがあります。幅広いHR領域で使っていただけますが、中心は新卒採用です。
業種もさまざまです。施工管理や薬剤師などの専門職、小売、介護、物流といった企業にも導入いただいています。特に、学生からの認知や内定承諾に課題を感じている企業からのご相談が多いですね。
登録から予約、リマインドまでをLINEで設計する
荻津:学生との接点から、どのように使っていくのか教えてください。
櫻井さん:まずは学生さんや求職者の方に、LINE公式アカウントへ登録していただく必要があります。媒体、ホームページ、合同説明会など、流入経路ごとにQRコードを作成できます。登録時に経路が記録されるので、どこから入ってきた方なのかも分析できます。
求人媒体からの応募であればサンクスメールにURLを入れる、合同説明会であればスライドやチラシにQRコードを載せる、といった使い方です。
登録後には、企業が必要とする情報に合わせて内容を作ったアンケートを配信できます。そこに説明会の予約項目を設ければ、回答を送信した時点で予約まで完了できるように設計できます。その後は、予約に合わせて案内やリマインドを自動配信します。
荻津:メールからLINEに変えることで、どのような違いが生まれるのでしょうか。
櫻井さん:メールは日常的に見ないアドレスに届いてしまうことがあります。普段から見るLINEに採用情報やリマインドが届くことで、まず情報を見てもらいやすくする。それが選考への移行率や参加率を高めるための考え方です。
また、予約済みの方には参加意欲を高める情報を送り、まだ予約していない方には予約を促す連絡を送る、といった出し分けも同時に自動化できます。
荻津:配信する内容や、LINEのメニューをどう作ればよいか分からない企業もあると思います。その部分も支援されるのですか。
櫻井さん:企画・構成から構築まで、私たちがご提案しながら進めます。LINEを開いたときに表示される「リッチメニュー」は、新卒採用であればプレ期、本選考期、内定者向けの3段階に分け、見せる情報を切り替えることが多いです。
どの場所に何の情報を置くか、ボタンを押した先をどうするかまで提案します。ノウハウがない場合だけではなく、すでにLINEを使っているけれどうまく活用できていない企業も支援しています。

選考フェーズに応じて、候補者に見せる情報を切り替える設計例(元動画13:15)。
候補者の行動から関心を捉え、必要な情報を届ける
荻津:LINE連携に対応した採用管理ツールもありますが、Liny HRでは特にどのような点に力を入れているのでしょうか。
櫻井さん:学生さんの心情や感情を捉え、情報を出し分けられることです。必要のない情報までLINEに届き続けると、見られなくなったり、ブロックされたりする可能性があります。
そこで、LINE上の行動をスコアリングできるようにしています。どの情報を何回タップしたのかを取得することで、何に関心があるかを捉える仕組みです。例えば「選考についての疑問」という項目を何度も見ている方であれば、今後の選考フローや進むスピードに不安があるのではないか、と考えるきっかけになります。
福利厚生、仕事の内容、キャリアステップといった項目を用意すれば、会社を選ぶときにどのような点を重視しているのかも捉えやすくなります。例えば、福利厚生のタップ数が10回を超えたら、関連する会社情報を自動で送る、といった設計ができます。関心が高まったタイミングで必要な情報を届け、会社の魅力を伝えたり、不安を解消したりしていきます。

行動履歴を、候補者ごとの情報発信を考える手がかりにする(元動画15:00)。
荻津:一人ひとりへの配信だけではなく、採用活動全体を見直す材料にもなりそうですね。
櫻井さん:個人がどこを見たかだけではなく、その年度の学生さん全体がどの項目をよく見ているかも確認できます。社員紹介がよく見られているのであれば、翌年の説明会の後に座談会を入れる、説明資料の社員紹介を厚くする、といった判断にも使えます。
荻津:反対に、関心が下がっている方を捉えることもできるのでしょうか。
櫻井さん:可能です。行動に応じて点数やランクを設定し、接点がない期間には減点する、といった設計もできます。例えば、1日アクセスがなければ1点ずつ減らすというように、自社との関わりが薄くなっている状態を把握する手がかりにします。
採用したいけれど志望度が低い方には、重点的に工数をかけて施策を打つべきだと考えています。例えば、スコアが20点下がったタイミングで最近の状況をうかがうメッセージを送る、内定者向けイベントへお誘いする。LINE以外での施策も含め、企画と配信を組み合わせて接点を作っていくことが大切です。
既存のATSと併用し、選考への移行を支援する
荻津:すでに別のATSを導入している企業でも利用できますか。
櫻井さん:併用していただく企業も増えています。既存のATSを使いながら、Liny HRを選考中や内定者向けの情報発信ツールとして導入する形です。リッチメニューで情報を見てもらい、配信で関心を高めるという使い方ができます。
例えば、iWebを利用している建設会社では、インターンシップから本選考への移行が課題でした。そこで、参加者へインターンシップの内容を復習するクイズなどをLINEで配信し、会社への理解や帰属意識を高める取り組みを行いました。
資料で紹介した本選考への移行率は27%から40%となり、13ポイント改善しています。母集団が約1万人規模の事例で、前年に比べて約1,300人多く次の選考に進んだとご紹介しています。今のATSをすべて置き換えるのではなく、コミュニケーションを補う形で使うこともできます。
荻津:大きな採用規模の企業だけではなく、少人数の採用でも活用されているのでしょうか。
櫻井さん:年間11〜15名ほどの採用規模の製薬会社でも活用されています。インターンシップ経由の採用を強化したいというご意向があり、参加後もクイズなどの情報を配信し、本選考への移行率は67%から72%へ、5ポイント上がりました。
選考中と内定者向けでリッチメニューを分け、必要な情報を分かりやすくしています。内定後の書類提出もシステム上で行うなど、回収にかかる工数を減らす使い方もされています。
電話でのフォローを減らし、次回予約につなげた福祉法人の事例
荻津:候補者への連絡業務が変わった事例も教えてください。
櫻井さん:新卒で40名ほどの採用を目指す社会福祉法人の事例があります。導入前は1日30件以上電話をかけながら、説明会後の次の段階への移行率が約50%という状況でした。
導入後は電話でのフォローが不要になり、資料で紹介した次回選考の予約率は100%になりました。力を入れたのは、自分に向けて案内が届いていると感じてもらうことです。
「アイコンスイッチ」という機能で、メッセージの送信者名とアイコンを採用担当者の名前・顔写真に切り替えられます。一斉配信の連絡というより、説明会で話していた担当者から自分に案内が来たと感じてもらえるようにし、次回の予約につなげていきました。
内定者には誕生日のメッセージを送る、力を入れているYouTubeへ案内するなどの使い方もしています。介護や保育に関わる法人なので、リッチメニューも親しみやすいデザインにしています。

電話中心のフォローからLINEへ移行した事例。資料の「100%」は次回選考の予約率を示す(元動画22:39)。
導入後も、KPIを見ながら配信やメニューを改善する
荻津:導入した後の運用は、どのように支援されるのでしょうか。
櫻井さん:システムの利用に加え、アカウントの構築や運用の支援をご用意しています。構築では、リッチメニューの企画・構成からデザイン、制作まで行います。
取材でご紹介した年間の運用支援では、専属のコンサルタントが1年間担当します。最初のキックオフミーティングでKPIを設計し、その内容に基づいて月1回の伴走ミーティングを行います。
例えば、説明会から選考への移行率が想定より5ポイント低いのであれば、配信内容やリッチメニューをどう変えるかをご提案します。必要な設定の代行、ウェブでのレクチャー、クリエイティブや文章の制作なども支援します。
荻津:LINEの設定に限らず、採用そのものについて相談することもできますか。
櫻井さん:私たちは、システムは採用課題を解決するための一手段だと考えています。採用コンサルティング部門のノウハウをまとめたeラーニングに加え、取材でご紹介したサポートの加入企業向けには、同部門の部長が月2回、ライブ型の採用コンサルティングも行っています。採用課題の壁打ち相手としても使っていただけます。
システムでできる課題解決に加えて、採用力の強化や、新しく採用担当になったメンバーの育成も支援していきたいと考えています。構築や運用支援を利用するかどうかは、各社で判断いただけますし、システムのみでの利用も可能です。
ソーシャルデータバンク・Liny HRの特徴
- 【接点から入社までのコミュニケーションを設計】:新たな母集団の獲得そのものではなく、すでに接点を持った候補者への案内やフォローを通じ、選考への移行や内定承諾を支援します。
- 【行動に合わせた情報の出し分け】:リッチメニューの閲覧・タップなどを手がかりに関心を捉え、選考フェーズや興味に応じた情報を届けます。関心が下がった候補者へ接点を作る設計にも活用できます。
- 【既存ATSとの併用と運用支援】:情報発信を補うツールとして既存ATSと併用できます。アカウントの企画・構築に加え、KPIに基づく配信改善や採用課題の相談に対応する支援も用意しています。
櫻井勇人さんの詳しいプロフィール・企業情報は、プロベルの紹介ページをご覧ください。
サービスの詳細は、Liny HR公式サイトで確認できます。