OCRツールおすすめ10選|特徴・料金と法人向けの選び方を比較
2026年10月03日
紙の申込書や注文書、PDFで届く請求書などを業務システムへ手入力していると、処理量が増えるほど入力工数と確認負担が膨らみます。OCRツールを使えば、画像やPDFに含まれる文字をデータ化し、検索・集計・システム登録へつなげやすくなります。
ただし、OCRツールは手書きへの強さ、非定型帳票への対応、初期設定、料金体系、API連携、データの保管方法が製品ごとに異なります。認識精度の数値だけで選ぶと、実際の帳票では修正作業が減らない、後続システムへ連携できないといった問題が起こりかねません。
本記事では、法人向けOCRツール10製品の特徴と料金の目安を比較し、自社に合う製品の選び方、導入メリット、注意点、導入手順を解説します。
OCRツールとは?従来型OCRとAI-OCRの違い
OCRは、紙をスキャンした画像やPDFに含まれる文字を、コンピューターで扱えるテキストへ変換する技術です。近年は文字を読むだけでなく、帳票の種類を判別し、必要項目を抽出して後続システムへ渡すAI-OCRや文書処理サービスが増えています。
OCRツールでできること
OCRツールは、画像やPDFから活字・手書き文字を抽出し、CSV、Excel、JSON、検索可能PDFなどへ変換します。注文書の品名や数量、請求書の取引先名や金額、申込書の氏名や住所といった項目をデータ化すれば、担当者が一から転記する作業を減らせます。
製品によっては、複数の帳票を種類別に仕分ける機能、傾きやノイズを補正する機能、読み取り結果を画面で確認・修正する機能も備えています。OCR後のデータをRPAや基幹システムへ連携できれば、受領から登録までの一連の処理を自動化しやすくなります。
従来型OCRとAI-OCRの違い
従来型OCRは、あらかじめ指定した座標や文字の規則に沿って読み取る方式が中心で、レイアウトが固定された帳票を安定して処理しやすい点が特徴です。一方、AI-OCRは機械学習を利用し、癖のある手書き文字やレイアウトが異なる帳票にも対応しやすくなっています。
ただし、AI-OCRであれば設定や確認が不要になるわけではありません。帳票の種類や画像品質によって結果は変わり、定型帳票では座標を細かく定義できる従来型OCRが適する場合もあります。対象文書と運用要件に応じて方式を選ぶことが重要です。
法人向けOCRツールの選び方
法人向けOCRツールは、読み取り精度だけでなく、現場で扱う帳票との相性やOCR後の業務まで含めて比較する必要があります。次の5つの観点で候補を絞ると、導入後の修正負担や追加開発を見積もりやすくなります。
読み取る帳票と文字種に対応しているか
まず、対象が活字か手書きか、定型帳票か非定型帳票かを整理します。請求書、領収書、注文書、申込書、図面などでは、必要な認識モデルや抽出項目が異なります。表、チェックボックス、印影、縦書き、複数言語まで読む必要がある場合は、それぞれの対応可否も確認が必要です。
製品資料の精度は特定条件で測定された結果であり、自社帳票で同じ結果になるとは限りません。FAXのかすれ、写真の傾き、複写式伝票、略字など、実務で発生する品質のばらつきを含むサンプルを用意し、必要項目ごとの正答率を比較します。
帳票定義や初期設定にかかる負担は許容できるか
定型帳票では、読み取り位置を指定する帳票定義を作ることで、必要な項目を安定して取得できます。しかし、取引先ごとにレイアウトが異なる場合、定義作成と更新の負担が増えます。非定型帳票向けモデルや生成AIによる項目抽出を使うと設定を減らせますが、出力の揺れや確認方法も評価しなければなりません。
現場担当者が画面上で設定できるのか、ベンダーへの設定依頼が必要なのか、学習にサンプルが何枚必要なのかも重要です。新しい帳票が追加される頻度まで含め、導入時だけでなく運用開始後の保守工数を見積もります。
出力形式とAPI・RPA連携が業務フローに合うか
OCRの出力がCSVだけでよいのか、JSONや検索可能PDFが必要なのかを確認します。既存の会計、販売管理、文書管理システムへ自動登録する場合は、API、監視フォルダ、RPA、Webhookなど、利用できる連携方法と開発範囲を整理します。
読み取り後に担当者がファイルをダウンロードし、別システムへ再入力する運用では、OCRの効果が限定的です。文書の受領、仕分け、読み取り、確認、登録、原本保管の各工程を描き、どこまで標準機能でつながるかを比較すると実態に近い判断ができます。
クラウド・オンプレミスとセキュリティ要件が合うか
クラウド型はサーバーを用意せず始めやすく、アップデートも提供側で行われます。一方、機密性の高い文書を外部環境へ送れない企業や、閉域網で処理したい組織では、オンプレミス型や専用環境が候補になります。
個人情報や取引情報を扱う場合は、通信と保存時の暗号化、データ保管場所、保存期間、自動削除、アクセス権限、監査ログ、バックアップ、障害時対応を確認します。AI学習への利用有無や、再委託先を含むデータ取扱条件も契約前に確認しておく必要があります。
処理量を基に総費用を試算できるか
料金体系には月額・年額の固定料金、ページ数や項目数に応じた従量課金、ライセンス購入型があります。同じ100枚でも、1枚から抽出する項目数や使用するモデルによって費用が変わるため、月間枚数だけでは比較できません。繁忙月の処理量と最低利用期間も含めて試算します。
初期費用のほか、帳票設定、個別開発、スキャナー、ネットワーク、保守、追加ユーザー、読み取り結果の確認修正にかかる人件費も総費用に含めます。単価が安くても修正率が高ければ運用費は増えるため、精度と費用を分けずに評価することが大切です。
OCRツールおすすめ10選
ここでは、法人向けに利用できるパッケージ型、オンプレミス型、API型のOCRツールを紹介します。画面操作だけで始めたい企業と、自社システムへOCRを組み込みたい企業では適する製品が異なるため、提供形態と導入後の運用を確認してください。
| 製品名 | 提供形態・向く用途 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| DX Suite | クラウド/オンプレミス。定型・非定型帳票を画面設定で幅広く処理 | 月額4万円~。Standard・Proは初期費用20万円 |
| SmartRead | クラウド/オンプレミス。非定型文書や年間処理量の変動にも対応 | 年額36万円~、初期費用0円 |
| LINE WORKS PaperOn | クラウド。現場・メールからの帳票収集とモデル別OCR | 月額3万円~(年額契約) |
| AIよみと~る | クラウド。手書き帳票とRPAを含む導入相談 | 月額3万3,000円~+従量料金 |
| AI-OCRらくスルー | クラウド。手書き定型帳票を小規模から導入 | 月額3万円~、初期費用無料 |
| CaptureBrain | クラウド。複合機・FAX・確認修正・個別連携 | 初期費用20万円、月額3万円~ |
| DynaEye 11 | オンプレミス。機密文書、大量処理、定額運用 | 年額50万4,000円~ |
| Prexifort-OCR | オンプレミス/組み込み。定型帳票と個別システム連携 | 要問い合わせ |
| Google Cloud Document AI | クラウドAPI。独自アプリへの抽出・分類機能の組み込み | Enterprise OCRは月1,000ページまで無料、以降1,000ページ1.50米ドル |
| Amazon Textract | クラウドAPI。AWS上で表・フォーム・請求書などを抽出 | 機能・リージョン別従量課金。文字抽出は1ページ0.0015米ドルの例 |
DX Suite
出典:DX Suite
| サービス名 | DX Suite |
| 提供会社 | AI inside株式会社 |
| 提供形態 | クラウド/オンプレミス(AI inside Cube) |
| 主な対応文書・機能 | 手書き・活字、定型・非定型、全文読取、自動仕分け |
| 料金 | 月額4万円~。Standard・Proは初期費用20万円 |
DX Suiteは、AI inside株式会社が提供するAI-OCRサービスです。手書き・活字の指定項目を読み取るIntelligent OCRに加え、文書内の文字を一括で抽出する全文読取や、複数帳票を種類ごとに分ける自動仕分け機能を利用できます。定型帳票だけでなく、発行元ごとに書式が異なる請求書や領収書などの処理にも対応しやすい構成です。
クラウド版はLite、Standard、Proのプランがあり、月額は4万円、10万円、20万円です。StandardとProは初期費用20万円がかかり、無料枠を超える分は従量課金となります。オンプレミス環境を希望する場合は、AI inside Cubeも選択肢です。
筆者・監修者のおすすめポイント
複数種類の帳票を扱い、現場担当者が画面上で設定しながら全社へAI-OCRを広げたい企業に適しています。
SmartRead
出典:SmartRead
| サービス名 | SmartRead |
| 提供会社 | 株式会社Cogent Labs |
| 提供形態 | クラウド/オンプレミス |
| 主な対応文書・機能 | 定型・非定型、全文読取、自動仕分け、API |
| 料金 | 年額36万円~、初期費用0円 |
SmartReadは、株式会社Cogent Labsが提供するAI-OCRです。定型文書の項目読取、非定型文書のデータ抽出、全文読取、自動仕分けに対応し、APIを通じて業務システムへ結果を連携できます。クラウド版とオンプレミス版があり、セキュリティ要件に応じて提供形態を選べる点も特徴です。
クラウド版は初期費用0円で、スモールプランが年額36万円、スタンダードが年額96万円、エンタープライズが年額240万円です。年間利用枠を基準にするため、月ごとの処理量が変動する業務でも利用量を平準化しやすく、人による確認を組み合わせたSmartRead PLUS+も用意されています。
筆者・監修者のおすすめポイント
繁忙期と通常期で処理量に差があり、非定型文書や人による確認サービスも含めて運用を設計したい企業に向きます。
LINE WORKS PaperOn
| サービス名 | LINE WORKS PaperOn |
| 提供会社 | LINE WORKS株式会社 |
| 提供形態 | クラウド |
| 主な対応文書・機能 | 全文・表、請求書、注文書、領収書、メール・アプリ投入 |
| 料金 | 月額3万円~(年額契約) |
LINE WORKS PaperOnは、LINE WORKS株式会社が提供するクラウド型のAI文書処理サービスです。全文・表認識、テンプレート、請求書、注文書、レシート・領収書などのOCRモデルを利用でき、AIおまかせモデルでは文書から必要な項目を抽出できます。
メールでのファイル受信やLINE WORKSアプリからの画像アップロードに対応しているため、店舗、営業所、工事現場などから帳票を集める運用を組みやすい点が特徴です。ライトは年額契約で月額3万円からで、800回分の読み取り枠が含まれます。30日間の無償トライアルも利用できます。
筆者・監修者のおすすめポイント
現場からスマートフォンやメールで文書を集め、専任のOCR担当者を置かずクラウドで処理したい企業に適しています。
AIよみと~る
出典:AIよみと~る
| サービス名 | AIよみと~る |
| 提供会社 | NTT東日本 |
| 提供形態 | クラウド |
| 主な対応文書・機能 | 手書き・活字、全文読取、項目抽出、自動仕分け |
| 料金 | 月額3万3,000円~+従量料金 |
AIよみと~るは、NTT東日本が提供するクラウド型AI-OCRです。紙帳票の金額、商品名、取引先名など、指定した項目の手書き文字や活字を読み取り、データ化できます。全文読取、項目抽出、自動帳票仕分けにも対応し、RPAと組み合わせた後続処理の自動化も検討できます。
小型プランの基本利用料は月額3万3,000円で、一定額の読み取り利用分を含みます。上限を超えた分は、全文読取・項目抽出や通常項目など処理内容に応じた従量課金です。30日間のトライアル版も同額で用意されており、NTT東日本へサンプル帳票の読み取りデモを相談できます。
筆者・監修者のおすすめポイント
AI-OCR単体の導入だけでなく、通信環境やRPAを含む業務効率化を同じ窓口へ相談したい企業に向きます。
AI-OCRらくスルー
出典:AI-OCRらくスルー
| サービス名 | AI-OCRらくスルー |
| 提供会社 | 関西ビジネスインフォメーション株式会社 |
| 提供形態 | クラウド |
| 主な対応文書・機能 | 手書き・活字、チェックボックス、自動仕分け、RPA連携 |
| 料金 | 月額3万円~、初期費用無料 |
AI-OCRらくスルーは、関西ビジネスインフォメーション株式会社が提供するクラウド型AI-OCRです。読み取り箇所の設定、帳票のアップロード、データ化というシンプルな手順で利用でき、手書き文字、活字、チェックボックスの変換や複数帳票の自動仕分けに対応します。
初期費用は無料で、月額3万円から利用できます。ライトプラン相当の30日トライアルは3万円で6,000項目を読み取り可能です。インターネット環境とスキャナーがあれば導入しやすく、同社が取り扱うRPAと組み合わせて基幹システムへの転記を自動化する運用も検討できます。
筆者・監修者のおすすめポイント
定型の手書き帳票を小規模からデータ化し、分かりやすい操作画面と費用感を事前に試したい企業に適しています。
CaptureBrain
出典:CaptureBrain
| サービス名 | CaptureBrain |
| 提供会社 | キヤノンマーケティングジャパン株式会社 |
| 提供形態 | クラウド |
| 主な対応文書・機能 | 画像補正、帳票仕分け、確認修正、CSV・API連携 |
| 料金 | 初期費用20万円、月額3万円~ |
CaptureBrainは、キヤノンマーケティングジャパン株式会社が提供するクラウド型AI OCRソリューションです。アップロードされた画像に対して、画像補正、帳票の自動仕分け、OCR処理を行い、結果の確認・修正後にCSVとして出力できます。APIを利用したシステム連携や、複合機・FAX・監視フォルダと組み合わせる構成も相談できます。
Smallプランは初期費用20万円、月額3万円で、処理量の目安は200~300枚です。Mediumは月額10万円、Enterpriseは月額15万円で、契約は年間単位です。帳票設定や個別開発は別途費用となるため、既存設備や後続システムを含む構成で見積もる必要があります。
筆者・監修者のおすすめポイント
複合機やFAXで受け取る帳票をペーパーレス化し、リモート確認や個別連携まで含めて設計したい企業に向きます。
DynaEye 11
出典:DynaEye 11
| サービス名 | DynaEye 11 |
| 提供会社 | 株式会社PFU |
| 提供形態 | オンプレミス |
| 主な対応文書・機能 | 活字・手書き、マーク、バーコード、ベリファイOCR |
| 料金 | 年額50万4,000円~ |
DynaEye 11は、株式会社PFUが提供するオンプレミス型OCRソフトウェアです。活字、固定ピッチ手書き文字、マーク、バーコード・QRコードに加え、AI-OCRプランではフリーピッチの手書き文字にも対応します。2つのOCRエンジンで結果を照合し、確認が必要な箇所を絞り込むベリファイOCRも利用できます。
1年ごとの定額制で、機能と処理量に応じたプランは年額50万4,000円からです。Lite以外は読み取り枚数の上限がなく、処理量が多い場合も従量料金を気にせず運用できます。業務システムへ組み込むSDK AI-OCRも用意されています。
筆者・監修者のおすすめポイント
機密文書をクラウドへ送信せず、処理枚数の増減を気にせず社内環境でOCRを運用したい企業に適しています。
Prexifort-OCR
| サービス名 | Prexifort-OCR |
| 提供会社 | 株式会社NTTデータ |
| 提供形態 | オンプレミス/システム組み込み |
| 主な対応文書・機能 | 定型帳票、手書き・活字、黒枠、確認修正、API |
| 料金 | 要問い合わせ |
Prexifort-OCRは、株式会社NTTデータが提供するOCR認識ソフトウェアです。スキャナーから取り込んだ帳票画像の活字や手書き文字を認識し、テキストデータへ変換します。黒枠帳票にも対応し、帳票定義をGUIで作成できるため、固定レイアウトの申請書や伝票を継続的に処理する用途に向きます。
OCR結果の確認・修正画面を構築するための画面コントロールライブラリや、各種APIライブラリが提供されます。既存システムへ組み込み、読み取りから修正、出力までの一連の処理を個別設計できる点が特徴です。料金は公式サイトからの問い合わせが必要です。
筆者・監修者のおすすめポイント
定型帳票の読み取りルールを細かく設計し、既存の業務システムへOCR処理を組み込みたい企業に向きます。
Google Cloud Document AI
| サービス名 | Google Cloud Document AI |
| 提供会社 | Google Cloud |
| 提供形態 | クラウドAPI |
| 主な対応文書・機能 | 全文OCR、表・フォーム、カスタム抽出、分類・分割 |
| 料金 | Enterprise OCRは月1,000ページまで無料、以降1,000ページ1.50米ドル |
Google Cloud Document AIは、文書からテキスト、レイアウト、表、キーと値の組み合わせなどを抽出し、構造化データとして返すクラウドサービスです。全文をデータ化するEnterprise Document OCRのほか、Form Parser、Layout Parser、事前学習済みプロセッサ、カスタム抽出・分類・分割を選べます。
Google CloudのコンソールやAPIからプロセッサを作成し、自社アプリケーションへ組み込んで利用します。Enterprise Document OCRは月1,000ページまで無料で、その後は500万ページまで1,000ページ当たり1.50米ドルです。画面完結型の業務ツールではないため、開発・運用体制を含めた検討が必要です。
筆者・監修者のおすすめポイント
Google Cloud上のデータ基盤やアプリへ文書処理を組み込み、独自項目の抽出や大量処理へ拡張したい企業に適しています。
Amazon Textract
| サービス名 | Amazon Textract |
| 提供会社 | Amazon Web Services |
| 提供形態 | クラウドAPI |
| 主な対応文書・機能 | 印刷・手書き、表、フォーム、クエリ、署名、請求書 |
| 料金 | 機能・リージョン別従量課金 |
Amazon Textractは、AWSが提供する機械学習ベースの文書解析サービスです。印刷文字と手書き文字に加え、表、フォームのキーと値、クエリ、署名を抽出できます。請求書・領収書、本人確認書類、融資関連文書向けのAPIもあり、用途に応じて必要な機能を呼び分けられます。
APIで利用する従量課金型で、Detect Document Textは米国西部リージョンの例では最初の100万ページまで1ページ当たり0.0015米ドルです。新規AWS利用者向けには3か月間、月1,000ページの無料枠があります。リージョンと使用APIで料金が変わるため、OCR以外のAWS利用料も含めて試算します。
筆者・監修者のおすすめポイント
AWS上のシステムへOCRを組み込み、処理量に応じて柔軟に拡張しながら表やフォーム抽出を使いたい企業に向きます。
OCRツールを導入するメリット
OCRツールを導入すると、紙やPDFをテキスト化する作業だけでなく、その後の確認、検索、集計、システム登録にも効果が及びます。どの工程の時間を減らすのかを明確にすると、導入効果を測りやすくなります。
データ入力と確認にかかる工数を削減できる
人が帳票を見ながら一項目ずつ入力する方法では、枚数に比例して作業時間が増えます。OCRで一次入力を自動化すれば、担当者は認識結果のうち信頼度が低い箇所や、金額など重要項目の確認に集中できます。全件を一から入力する作業から、例外を確認する作業へ変えられる点が大きな利点です。
効果を測る際は、OCRの処理時間だけでなく、スキャン、アップロード、修正、登録までの総時間を比較します。確認画面の操作性や、元画像と結果を見比べやすいかによっても担当者の負担は変わります。
入力ミスを抑え、文書データを再利用しやすくなる
OCRで同じルールに沿って項目を抽出すると、入力表記を統一しやすくなり、転記時の見落としや桁間違いを減らせます。読み取り結果を原本画像とひも付けて保存できる製品なら、確認や監査時に根拠となる文書へ戻りやすくなります。
紙のまま保管されていた情報をテキスト化すれば、文書検索、集計、分析にも利用できます。ただし、OCR結果をそのまま正解データとせず、重要項目には入力規則やマスタ照合を組み合わせることが必要です。
RPAや業務システムと組み合わせて処理を自動化できる
APIやRPAに対応したOCRツールなら、メールやフォルダから帳票を取得し、種類を判別して読み取り、販売管理や会計システムへ登録する流れを自動化できます。OCRだけを導入してCSVの転記が残る状態より、業務全体の待ち時間と操作回数を減らせます。
一方で、自動登録の範囲を広げるほど誤認識の影響も大きくなります。金額、口座、契約条件など重要度の高い項目は承認を残し、低リスクな項目だけ自動登録するなど、リスクに応じて自動化の範囲を分ける設計が適切です。
OCRツール導入時の注意点
OCRは入力業務を効率化しますが、導入するだけで正しいデータが完成するわけではありません。認識精度の限界と現場の例外を前提に、確認工程、評価方法、情報管理を設計する必要があります。
読み取り結果を100%正しい前提で運用しない
高精度を掲げる製品でも、低解像度、傾き、影、かすれ、文字の重なり、独自略号などによって誤認識は起こります。特に「0」と「O」、「1」と「I」、小数点、桁区切りなどは業務上の影響が大きくなる場合があります。
認識信頼度を使って確認対象を絞り、金額や顧客番号はマスタや合計値と照合するなど、誤りを検知する仕組みを設けます。誰が修正し、どの条件で再処理し、どの時点で確定するかまで決めておくと、責任の所在が曖昧になりません。
無料トライアルでは実帳票と例外帳票を試す
トライアルでは、きれいな見本だけでなく、実際のスキャナーや複合機で取得した文書を使います。FAX、写真、複写式、手書き、複数ページ、取引先ごとのレイアウト違いなど、日常的に発生する例外を含めることが重要です。
正答率に加え、帳票定義の作成時間、1件当たりの確認修正時間、処理速度、出力形式、後続連携まで測定します。同じサンプルと評価基準で複数製品を試すことで、製品資料だけでは分からない運用コストを比較できます。
保管・権限・削除方針を含めてセキュリティを確認する
OCRへ送る文書には、氏名、住所、取引額、口座、契約内容などが含まれる場合があります。クラウド型では、アップロード後の保存期間、処理リージョン、暗号化、アクセス制御、監査ログ、バックアップ、障害や解約時のデータ削除方法を確認します。
社内でも、OCR結果を閲覧できる担当者と管理者の権限を分け、共有IDを避ける必要があります。外部サービスや生成AIを利用する場合は、入力データがモデル学習に使われるか、再委託先を含めてどこで処理されるかを契約条件で確認します。
OCRツール導入の進め方
OCR導入は、製品選定から始めるより、対象業務と成功条件を明確にしてから候補を試す方が進めやすくなります。小さな範囲で運用を確立し、効果を確認してから対象を広げます。
対象帳票・処理量・現在の工数を整理する
帳票の種類、月間枚数、1枚当たりの項目数、手書きの割合、レイアウト数、繁忙期の最大量を一覧化します。現在の入力・確認時間、誤りの発生箇所、後続システム、原本保管方法も整理すると、OCRで解決すべき範囲が見えます。
すべての帳票を一度に対象にせず、件数が多く、形式が比較的安定し、入力工数が大きい業務から優先すると効果を検証しやすくなります。正確性が最優先の項目と、一定の修正を許容できる項目も分けておきます。
候補製品を同じサンプルと評価基準で試す
候補製品には同じ実帳票を投入し、項目別正答率、帳票設定時間、処理速度、確認修正時間、出力の扱いやすさを記録します。単純な文字認識率だけでなく、業務で必要な項目が正しい形式で取得できるかを評価します。
料金は通常月と繁忙月の処理量で試算し、初期費用、追加設定、API開発、保守を含めます。現場担当者、情報システム、セキュリティ担当者がそれぞれ操作性・連携・データ取扱を確認すると、導入後の手戻りを防ぎやすくなります。
限定業務から始め、運用結果を見て対象を広げる
本番導入では、一部部署や一種類の帳票に対象を限定し、確認工程とエラー時の対応を固めます。入力時間、修正率、処理件数、エラー件数などの指標を導入前後で比較し、期待した効果が出ているかを判断します。
安定運用できたら、同じ業務で帳票種類を増やす、別部署へ展開する、RPAやAPIで後続登録を自動化するといった順で範囲を広げます。帳票変更やモデル更新に備え、定期的な精度確認と設定見直しの担当者も決めておくことが重要です。
OCRツール選びでお悩みならプロベルへご相談ください
OCRツールは、手書きや非定型帳票に強いクラウド型、処理量を気にせず使えるオンプレミス型、既存システムへ組み込むAPI型などに分かれます。製品名や公表精度だけで決めず、自社帳票での結果と、確認・登録までの業務全体を比較することが重要です。
例えば、店舗から領収書を集めてすぐデータ化したい企業と、機密性の高い定型帳票を社内環境で大量処理したい企業では、適する提供形態が異なります。APIで独自システムへ組み込む場合は、OCR単価だけでなく開発、監視、例外処理の費用も含めて検討する必要があります。
比較する際は、以下の点を確認してください。
- 実際に扱う活字・手書き・定型・非定型帳票で必要項目を読み取れるか
- 帳票定義、学習、修正などを現場で継続できる操作性か
- CSV・JSON・検索可能PDF、API・RPAなど必要な出力と連携に対応するか
- データ保管場所、保存期間、権限、ログ、削除方法が自社基準を満たすか
- 通常月と繁忙月の処理量、初期設定、開発、確認作業を含む総費用が明確か
OCRを導入しても、画像品質や帳票変更によって確認作業は残ります。自動化する項目と人が確認する項目を分け、実帳票を使った試験で修正率と運用工数を確かめてから契約することが大切です。
OCRツールや導入支援先の選定では、帳票、処理量、連携先、セキュリティ要件を同じ条件で整理し、複数の候補を比較する必要があります。OCRツール選びでお悩みの際は、プロベルへご相談ください。