HRテックとは?サービスの種類と新規事業を立ち上げる進め方
2026年11月08日
※本記事は当社独自の基準に基づき作成・編集しており、【プロベルおすすめ】と記載があるものは、プロベル有料掲載社のプロモーションが含まれます。
採用や労務の現場で見つけた課題を、新しいサービスとして提供したい。そのときに考えたいのが、HRテックの事業化です。人事業務のどこに負担があり、誰が費用を払ってでも解決したいのかを捉えることで、開発すべき機能や営業先が見えてきます。
この記事では、HRテックの意味と主な領域を整理したうえで、顧客へのヒアリング、試作、開発・運用、継続利用へと進める方法を解説します。事業設計や開発を相談できる3社の違いも紹介するので、自社に不足する役割を考える際に役立ててください。
HRテックとは?人と組織の課題を技術で解決するサービス
HRテックは、Human Resources(人材・人事)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉です。採用、人材管理、労務、育成などの業務に技術を活用する取り組みや、それを支えるツール・サービスを指します。クラウド上での情報共有や業務の自動化も含まれ、AIを使うサービスに限りません。
サービスを提供する側にとっての出発点は、技術の選択よりも、顧客の仕事をどう変えるかです。例えば、応募者情報の転記を減らすのか、社員のスキルを把握して配置を考えやすくするのかで、必要なデータも利用者も変わります。
採用・労務・配置・育成など、解決する業務で領域が分かれる
HRテックを一つの大きな市場として捉えると、企画に多くの機能を盛り込みがちです。まずは次のように、具体的な業務と困りごとに分けると、自社が取り組む範囲を絞りやすくなります。
| 領域 | 利用者が抱える課題の例 | サービスでできることの例 |
| 採用 | 応募情報や選考状況が分散し、連絡が遅れる | 応募者情報の集約、選考状況の共有、日程調整 |
| 労務・入退社手続き | 書類回収や同じ情報の入力に手間がかかる | 情報のオンライン収集、手続きの進捗管理、勤怠データの集計 |
| 人材配置・評価 | 経験やスキルが見えず、配置や評価の検討が難しい | 人材情報の可視化、評価記録の管理、配置検討の支援 |
| 学習・育成 | 受講状況や習得した内容を把握しにくい | 教材の配信、学習履歴の管理、習得状況の確認 |
同じ採用領域でも、採用管理システムと求人メディアでは事業の仕組みが異なります。前者なら担当者の業務が円滑になること、後者なら求人企業と求職者の接点が生まれることが価値の中心です。領域名から一歩進んで、利用者がサービス上で何を達成できるのかまで言葉にしましょう。
利用者と、費用を払って導入を決める人を分けて考える
毎日使う担当者と、購入を決める人が異なる点も、法人向けHRテックの企画で押さえたいところです。採用担当者が入力のしやすさを評価しても、人事責任者は採用活動全体の改善を、情報システム部門は既存システムとの接続や管理方法を確かめたいかもしれません。
例えば、転記を減らすサービスなら、現場には作業の変化を試してもらい、責任者には削減できる負担と費用を説明します。ヒアリング先を利用者だけに限定せず、決裁に関わる人と予算の所在も把握することで、使いやすさと導入しやすさの両方を企画に反映できます。
HRテック事業を立ち上げる5つのステップ
顧客像と提供したい価値が見えてきたら、現場で確かめながらサービスの形にしていきます。各段階で得た反応を次の判断に使い、必要な開発と提供体制を具体化する流れで進めましょう。
1.狙う顧客と、最初に解決する課題を絞る
最初は「採用に困る企業」よりも、業種、規模、担当業務を絞って考えます。同じ採用担当でも、多店舗のアルバイト採用と専門職の中途採用では、応募者との連絡方法や選考の進め方が違うためです。
例えば、既存の人材事業で中小企業との接点があるなら、日々の商談で繰り返し聞く困りごとを起点にできます。応募書類の転記に時間がかかる、店舗から選考結果が戻らない、といった候補の中から、発生頻度と負担が大きく、既存の方法では解消しにくい課題を選びましょう。
2.現場へのヒアリングで、現在の仕事と支払い意思を確かめる
ヒアリングでは、欲しい機能を尋ねる前に、直近の仕事をどのように進めたかを聞きます。使っている帳票や画面を見ながら、誰から何を受け取り、どこに入力し、どの場面で待ち時間ややり直しが生じるのかを追うと、負担の原因を捉えやすくなります。
転記の負担が課題なら、単に入力時間だけでなく、書類の形式が違うことや、確認する人が不在で登録が止まることも見えてくるでしょう。そのうえで、どこまで改善すれば導入を検討できるか、現在の費用や代替手段、社内承認の流れを聞きます。
「便利そう」という感想に続いて、試験導入の担当者を決められるか、予算を検討してもらえるかまで話せれば、次の検証が具体化します。反応とともに、導入に進まない理由も記録しておくと、機能と営業提案のどちらを見直すべきか判断できます。
3.最小限の機能や試作品で、利用されるか検証する
MVPは、事業の仮説を確かめるために必要最小限の価値を提供するものです。すべての機能を備えた製品を作る前に、検証したいことに合う形を選びます。画面の試作品で操作の流れを試す方法もあれば、裏側は手作業で処理し、顧客に提供価値を体験してもらう方法もあります。
例えば、応募書類から必要な情報を取り出すサービスなら、最初は対象の書類や入力項目を限定し、担当者が確認を終えるまで試してもらいます。登録された件数だけを見るよりも、確認作業を含めて以前より負担が減ったかを見たほうが、本開発へ進める材料になります。修正が必要なら、新しい機能を増やす前に、業務が止まった理由を確かめましょう。
4.課金方法と、開発・運用にかかる費用を組み合わせる
課金方法は、顧客が受け取る価値と費用を説明しやすい単位から検討します。利用者数に応じた月額、処理件数に応じた従量課金、初期設定費などが候補です。転記支援なら処理量、全社で使う人材管理なら利用人数や利用範囲と、サービスの使われ方に合わせて考えます。
一方、提供側には、開発後もクラウドや外部サービスの利用料、問い合わせ対応、導入支援などの費用がかかります。例えば、処理件数が増えるほどAIの利用料が増えるなら、売上だけでなく利用量ごとの費用も計算する必要があります。
顧客を獲得する営業費用と、契約後に必要な支援工数まで含めて試算すると、どの価格・提供範囲で事業を続けられるかが見えてきます。個別のデータ移行や設定代行をどこまで標準料金に含めるかも、この段階で整理しておきましょう。
5.初期顧客への提供を通じて、導入と利用支援を整える
初期顧客との試験導入では、対象業務、利用期間、確かめたい変化、双方の担当者を共有します。使い始めるために必要なデータの移行や初期設定を洗い出し、操作説明から質問の受付まで、一連の提供方法を試します。
例えば、担当者が操作できても、上司の承認が取れずに業務へ組み込めないことがあります。その場合は操作説明を増やすより、承認者にも確認してもらう流れを整えたほうが解決につながるでしょう。初回の利用で止まる場所を見つけ、次の顧客には無理なく導入できる手順へ整えることが、事業の立ち上がりにつながります。
企画段階で決めたい機能・データ・運用の設計
検証に必要な機能が見えてきたら、顧客の業務へ組み込む方法を考えます。画面だけで完結させず、前後のシステム、扱う情報、人の役割までつなげておくと、実際に使えるサービスへ近づきます。
業務の流れから機能を選び、既存システムとのつなぎ方を考える
機能は「ファイルを読み込む」「情報を表示する」と個別に考えるより、業務の始まりから完了までを追って選ぶと整理しやすくなります。職務経歴書の転記支援であれば、書類の受け取り、必要項目の抽出、担当者の確認、管理システムへの登録までが一つの流れです。
SPが公開する人材サービス企業向けの事例でも、複数形式の職務経歴書からテキストを取り出し、生成AIで構造化したデータを管理システムのAPIへ連携しています。登録の確定前には担当者が確認・承認する工程があり、読み取り機能と実務上の確認を組み合わせています。
このように入力先まで決めると、既存システムとデータをやり取りするAPIが使えるか、どの形式で受け渡すか、といった開発条件が明確になります。最初の検証ではファイルで受け渡し、本格提供でAPI連携を加えるなど、段階に応じて接続方法を選ぶこともできます。
誰の情報を、誰が何のために使うかを設計する
求職者や従業員の情報を扱うサービスでは、利用目的と、閲覧・更新できる人を企画段階で決めます。例えば、人事責任者は全社の情報を見られても、現場の管理職は自部署に必要な情報だけを見る、といった業務上の区分を画面と権限に反映します。複数の顧客企業が利用する場合は、企業間でデータが混ざらない管理も必要です。
AIで書類の内容を整理するなら、どの情報を外部サービスへ送り、出力を誰が確認するかまで設計しましょう。確認する人が元の情報と照合し、必要な修正をしてから登録できる画面にすれば、AIの処理を業務へ組み込みやすくなります。
求人・求職者をつなぐサービスを企画する場合は、情報を届ける範囲と、自社が選別や連絡に関わる範囲も具体化します。募集情報等提供と職業紹介は提供の実態によって区分されるため、機能と運用案を整理し、必要な許可・届出を管轄の労働局へ相談するとよいでしょう。
自社に残す役割と、外部へ依頼する範囲を決める
事業責任者は、顧客から得た反応をもとに、誰の課題を優先し、どこに投資するかを決める役割を持ちます。そのうえで、顧客調査や営業の実行、要件定義、デザイン、開発、保守など、自社で不足する仕事を外部へ依頼します。
例えば、営業先は開拓できるものの製品を作る体制がないなら、開発・デザインの支援が中心になります。一方、何を誰に売るかが定まっていない場合は、事業仮説を具体化し、顧客への提案まで一緒に動く支援が役立つでしょう。依頼先が複数になる場合も、顧客の反応を仕様へ反映する判断者を決めておけば、戦略と開発が分断されにくくなります。
継続利用と収益を確かめながら、HRテック事業を育てる
初期顧客へ提供した後は、契約件数とともに、業務の中で使われ続けているかを見ていきます。利用が定着する理由と支援にかかる負担を把握し、顧客への価値と事業の収益を両立させましょう。
利用の定着と、顧客が得られた変化を確認する
利用状況は、初期設定、最初の業務の完了、その後の継続という流れで追うと、どこに改善が必要かを見つけやすくなります。登録は済んでいても書類の取り込みまで進んでいないなら、データの準備や最初の操作でつまずいている可能性があります。
例えば、初回設定に毎回問い合わせが来る場合は、説明資料を渡すだけでなく、画面上の案内や設定項目の順序を見直します。反対に、設定後は使われるのに月末だけ利用が止まるなら、その時期の業務や処理量に対応できているかを聞くと、改善の方向が定まります。
顧客が得られた変化も、対象業務をそろえて確認します。転記作業なら、入力だけでなく確認や修正まで含めた時間を導入前後で比べると、実務上の負担が減ったかを捉えられます。その変化を継続利用の理由として説明できれば、次の顧客への提案にもつながるでしょう。
顧客ごとの個別対応と、共通機能の改善を分ける
初期顧客の要望には、他社にも役立つものと、その企業の業務に固有のものがあります。例えば、複数社が同じ入力項目で困っているなら共通機能の改善が候補になりますが、独自の帳票への出力は追加設定や個別開発として扱う方法もあります。
こうした区分がないまま要望ごとに別の仕様を作ると、更新や問い合わせ対応が増え、顧客が増えるほど運営が難しくなることがあります。継続売上に対して導入・保守へどれだけ工数がかかっているかを見ながら、標準機能へ取り込む範囲、有料の個別対応、対応しない領域を決めましょう。顧客の声を取り入れつつ、繰り返し提供できる仕組みを育てることが大切です。
HRテック事業の立ち上げ・開発を相談できる3社
外部支援を活用する際は、事業仮説や営業を一緒に進めたいのか、製品の設計・開発を具体化したいのかを分けて考えると、相談先を選びやすくなります。ここでは、HR事業の立ち上げやプロダクト開発を相談できる3社を紹介します。
| 会社名 | 主な支援 | 相談が合う場面 |
| 株式会社HumAIn【プロベルおすすめ】 | 新規事業の戦略策定、営業・マーケティングの実行伴走 | HR事業の顧客・提供価値を具体化し、顧客開拓まで動かしたい |
| 株式会社SP【プロベルおすすめ】 | 事業モデルの具体化、MVP検証、SaaS・システム開発 | 業務課題の整理から試作、本開発・運用へつなげたい |
| 株式会社Engineerforce【プロベルおすすめ】 | 利用者起点の要件定義、UI/UXデザイン、開発・改善 | 構想を画面に落とし込み、操作と実装方法を確かめたい |
株式会社HumAIn【プロベルおすすめ】

| 会社名 | 株式会社HumAIn |
| 主な支援内容 | 新規事業の立ち上げ、事業戦略、営業・マーケティングの実行支援 |
| 対応範囲・進め方 | 新規事業の企画から事業化・成長・撤退判断まで伴走 必要に応じて試作・開発や実行体制も支援 |
| 料金・契約条件 | 要問い合わせ |
HumAInは、新規事業の立ち上げから事業化、成長、撤退判断まで、チームの一員として伴走する会社です。事業戦略の具体化に加えて、試作品の制作、事業段階に応じた開発、営業の実行まで支援しています。
同社によると、人材紹介・求人サイト・求人広告などのHR事業では、立ち上げや立て直し、営業戦略、コンテンツマーケティングの強化にも対応しています。既存の人材事業で得た接点や知見を、新しいサービスの顧客像や提案へ結び付けたい場合に相談できるでしょう。
例えば、製品のアイデアはあるものの、顧客への提案や検証を進める人手が足りない場面では、戦略を決める会議だけでなく、どこまで実行を担ってもらうかを具体化して相談できます。HRテック事業を動かすための役割から、一緒に整理したい企業に向く支援先です。
筆者・監修者のおすすめポイント
HR領域の事業アイデアを、顧客像・提供価値・営業の進め方へ具体化したい企業に向きます。戦略と実行をつなぐ体制が不足している場合の相談先です。
株式会社SP【プロベルおすすめ】

| 会社名 | 株式会社SP |
| 主な支援内容 | 新規事業支援、SaaS・業務システム開発、DX支援 |
| 対応範囲・進め方 | 事業モデルの具体化、MVP構築・検証、初期マーケティング システムの設計・開発、運用と継続改善 |
| 料金・契約条件 | 仮説検証・PoC支援:100万円〜(プロベル掲載プラン) 税区分・具体的な支援範囲は要問い合わせ 本開発・運用:要件に応じて個別見積もり |
SPは、新規事業のビジネスモデルづくりから、MVPの構築・検証、初期マーケティングまでを支援する会社です。SaaSの企画・開発・運営にも取り組み、顧客の業務フローと、継続して使われる製品の設計を結び付けています。
HRテックに関わる取り組みとして、勤怠管理・給与計算サービスの開発や、前述した人材サービス企業向けの職務経歴書自動入力の事例を公開しています。既存業務とつなぐ工程まで含めた開発を相談したい企業にとって、参考になる取り組みです。
事業の仮説を小さく試し、その後のSaaSや業務システムへつなげたい場合は、検証段階の成果物と、本格提供に必要な開発を分けて相談するとよいでしょう。技術面だけでなく、導入後の運用や顧客支援を見据えた依頼範囲を組み立てられます。
筆者・監修者のおすすめポイント
人事・人材サービスの業務課題を整理し、試作からSaaSや業務システムの開発・運用へつなげたい企業に向きます。既存システムとの連携を含めて相談したい場合も候補になります。
株式会社Engineerforce【プロベルおすすめ】

| 会社名 | 株式会社Engineerforce |
| 主な支援内容 | 要件定義、UI/UXデザイン、アプリ・システム開発 |
| 対応範囲・進め方 | 利用者の課題整理、プロトタイプ制作、技術検討 開発・テスト、リリース後の運用・改善 |
| 料金・契約条件 | 要件に応じて個別見積もり |
Engineerforceは、利用者の視点から要件を整理し、UI/UXデザインと技術検討を並行して進める開発会社です。企画段階の課題整理から、プロトタイプ、開発、リリース後の改善まで相談できます。
HRテックでは、人事担当者、管理職、従業員など、立場によって必要な操作が変わります。例えば、面談記録を入力する担当者と、その記録を見て育成を考える上司では、同じ情報でも見たい順序が異なるでしょう。
こうした利用場面を画面で確かめながら、操作のしやすさと実装方法を一緒に検討したい企業に合います。同社は利用状況や反応を踏まえた機能・UIの改善も扱うため、初回の開発から、その後の使われ方を見て育てる体制まで相談できます。
筆者・監修者のおすすめポイント
構想を使える画面へ落とし込み、利用者の操作を確かめながら開発を進めたい企業に向きます。デザインと技術検討を並行させ、提供後も改善を続けたい場合の候補です。
相談先を選ぶときは、事業設計と開発の依頼範囲をそろえる
相談時には、狙う顧客と課題、これまでに確かめたこと、次に検証したいことを共有すると、必要な支援を具体化しやすくなります。予算、希望時期、社内で動ける担当者も伝え、企画・営業・開発のどこを任せたいかを話しましょう。
提案を比べるときは、金額と納期に加えて、どの成果物や実行支援が含まれるかをそろえます。例えば、顧客へのヒアリングを自社で行う案と、支援先が調査の設計から参加する案では、費用だけを比べても、自社に残る仕事の差が見えません。
開発についても、試作品を作る段階なのか、顧客に継続提供する製品まで仕上げるのかで範囲が変わります。実際に試して仕様を変える際の決め方や、提供後の問い合わせ・保守の分担まで話しておくと、事業の進み方に合う支援を選びやすくなります。
要件が固まっていない場合も、未確定な部分をそのまま共有して構いません。「顧客像から整理したい」「検証した画面を開発へつなげたい」と現在地を伝え、次の判断に必要な支援から相談しましょう。
まとめ|解決する課題を絞り、小さく検証してHRテック事業を育てよう
HRテック事業は、採用や労務といった領域を選んだ後、誰のどの仕事を変えるかまで絞ることで具体化します。利用者と導入を決める人の両方に確かめ、小さな試作から始めて、料金・運用・継続利用まで一つの事業として組み立てていきましょう。
事業仮説や顧客開拓を進める体制が必要なのか、画面設計や開発の力が必要なのかによって、適した相談先は変わります。自社に不足する役割や依頼先を整理したい場合は、プロベルへご相談ください。課題や構想をもとに、事業づくりや開発を支援する企業選びをお手伝いします。