LLMOの効果測定とは?専門家が最初に見る3つの数字
2026年10月30日

この記事の監修者
中川 裕貴(NYマーケティング株式会社 代表取締役/株式会社プロベル SEO顧問)
LLMO対策を始めたものの、何を見れば効いていると言えるのか分からないという相談を、弊社は毎月のように受けています。
弊社が最初に見る数字は3つだけです。AIの回答に自社が出ている割合(言及率と引用率)、競合と比べたときの自社の取り分(シェア・オブ・ボイス)、そしてAI経由の問い合わせ数です。AI経由の流入数はあとから見れば十分です。
もちろん本来はAIでの露出からサイト訪問、問い合わせまで全部を見るべきです。ただ、最初から全部を追うと数字の意味が分からないまま運用が止まります。この記事では、弊社がなぜこの3つから始めるのか、それぞれを無料でどう取るのか、どのくらいで動くのかを順に書きます。あわせて、混同されやすい「引用」と「推奨」の違いや、計測ツールの選び方も扱います。
この記事の要点
- 最初に見る数字は、言及率と引用率、シェア・オブ・ボイス、AI経由の問い合わせ数の3つ
- 問い合わせは、フォームの「どこで知ったか」にAIの選択肢を置いて直接数える
- 引用されるだけでは選ばれない。見るべきは「おすすめ」として名前が出る推奨
- GA4とSearch Consoleで無料で取れる数字には、測れない範囲がはっきりある
- 指名系の質問で正しく出るまでは1〜3か月、比較系で名前が挙がるまでは半年〜1年かかる
最初に見るのは言及率とシェア・オブ・ボイスと問い合わせ数
LLMOの効果測定とは、ChatGPTやGeminiなどのAIの回答に自社がどう出ているかを定点で観測し、その変化が問い合わせにつながったかを確かめることです。SEOの検索順位のような共通の物差しはまだありません。だからこそ弊社は、最初は3つの数字に絞って見ています。
| 数字 | 何がわかるか | 取り方 |
|---|---|---|
| 言及率と引用率 | AIの回答に自社名やURLが出ているか | 固定した質問をAIに投げる、または計測ツール |
| シェア・オブ・ボイス | 競合と比べて自社がどれだけ出ているか | 計測ツール(弊社はAhrefs Brand Radar) |
| AI経由の問い合わせ数 | 実際に商談の入口まで来たか | 問い合わせフォームの「どこで知ったか」 |
1つ目は言及率と引用率
言及率は決めた質問のうち何割で自社名が回答に出たかを表します。引用率は自社サイトのURLが出典として示された割合です。AIが自社を知っているか、情報源として使っているかを見る、いちばん直接的な数字になります。
2つ目はシェア・オブ・ボイス
シェア・オブ・ボイス(SoV)は競合を含めた言及全体のうち自社が占める割合です。自社の言及率が横ばいでも、競合が伸びていれば相対的には後退しています。言及率だけ見ていると、この後退に気づけません。
3つ目はフォームで数える問い合わせ数
弊社が一番大事にしているのがこれです。問い合わせフォームの「どこで知りましたか」に「ChatGPTなどのAI」という選択肢を置き、AI経由の問い合わせを直接数えます。GA4の流入元から推定するより、ずっと確かな数字が取れます。
AIで社名を知った人が、その場ではリンクを押さず、あとから社名で検索して問い合わせることはよくあります。この場合、GA4上は自然検索からの流入にしか見えません。本人に聞けば、この取りこぼしをかなり拾えます。
AI経由の流入数を最初に追わない理由
AI経由の流入はまだ全体のごく一部です。218サイトを分析したFirst Page Sageの調査では、AIプラットフォーム経由の流入は全体の6.2%でした。中小のBtoBサイトなら月に数十件ということも珍しくありません。
そのうえ、測れる範囲にも穴があります。166サイトを追ったPrevisibleの調査では、GoogleのAI OverviewsやAIモードからの流入は、ChatGPTなど単独のAIからの流入を全部足したより大きいとされています。ところがこの分は、GA4では自然検索に混ざって見えません。
一方で、来た人の質は高めです。Similarwebの分析では、ChatGPT経由のコンバージョン率は7.1%で、有料検索に次ぐ水準でした。数は少なく測り漏れも多い一方で、来れば成約に近い流入です。だから弊社は流入数の増減に一喜一憂するより、問い合わせを直接数えるほうを先にしています。
引用と推奨の違いは?問い合わせに近いのは推奨
AIの回答に自社が出る出方は、引用、言及、推奨の3つに分かれます。この3つは同じ「出た」でも、問い合わせへの近さがまるで違います。弊社が一番重く見ているのは推奨です。
| 出方 | 何が起きているか | 例 |
|---|---|---|
| 引用 | 自社サイトのURLが出典として示される | 回答の末尾や横に、自社ページへのリンクが並ぶ |
| 言及 | 本文に自社名が出る | 「〇〇社などが提供しています」と名前が挙がる |
| 推奨 | 「おすすめ」や「選ぶならここ」として名前が出る | 「BtoBに強い会社なら〇〇社がおすすめです」と勧められる |
引用はAIに情報源として使われること
引用は、AIが回答を組み立てるときに自社のページを参考にした、という意味です。たとえば「LLMOとは」と聞かれたAIが、弊社の解説記事をリンクとして示すのがこれにあたります。
引用されれば、ページの中身は信頼されています。ただし、そのとき回答の本文で勧められているのは、別の会社かもしれません。用語の説明に使われただけで、社名は出ていないこともよくあります。
推奨はAIに選択肢の候補として名前を挙げられること
推奨は、ユーザーが「どこに頼めばいいか」「どれを選べばいいか」と聞いたときに、答えとして自社の名前が出ることです。BtoBの発注先選びに関わるのはこちらです。弊社が2026年8月に行ったBtoB発注行動調査では、パートナー選びに生成AIを使う人は66.4%にのぼりました。
推奨は何番目に出るかも見ます。5社並んだうちの5番目に一言だけ触れられるのと、最初に理由つきで勧められるのとでは、読み手の行動が変わるからです。
引用だけ増えて問い合わせが動かない理由は?
引用率が上がったのに問い合わせが増えないという相談は、弊社では珍しくありません。原因の多くは、引用されているのが用語解説やコラムで、比較や依頼先を探す質問では推奨されていないことです。
この状態は失敗ではありません。AIに情報源として認められた段階で、次は「選ばれる」段階に進む、というだけです。ただ、引用の数字だけを報告していると、ここで止まっていることに気づけません。
推奨されているかを確かめる2つの聞き方
推奨されているかは2通りの聞き方で確かめます。
- 第一想起されたいカテゴリーで聞く。「名古屋でBtoBのWebマーケに強い会社は?」のように、自社が真っ先に挙がってほしい文脈で質問し、名前が出るか、何番目か、どう説明されるかを見る
- 社名を名指しで聞く。「〇〇株式会社はどんな会社?」「良いところと悪いところは?」と聞き、AIが自社を正しく理解しているかを見る
1つ目で名前が出なくても、2つ目で正しく説明されていれば、AIは自社を知っています。カテゴリーと結びついていないだけなので、打つ手は比較や事例のページを厚くすることになります。2つ目で間違った説明が出るなら、会社情報の整備が先です。
LLMOの効果をSEOのように順位で測れない3つの理由
SEOなら「このキーワードで何位か」という分かりやすい数字があります。LLMOにはそれがありません。理由は3つで、どれも仕組みの問題なので、ツールを増やしても完全には解決しません。先に知っておくと、報告で無理な数字を作らずに済みます。
AIの回答は毎回変わるので1回の確認では測れない
AIは同じ質問をしても毎回同じ回答を返すとは限りません。挙がる会社の顔ぶれも順番も入れ替わります。ログインしているか、過去のやり取りを覚えているか、Web検索を使うかでも変わります。
ですから「ChatGPTで聞いたら出てきた」は、1回の観察であって測定ではありません。同じ質問を同じ条件で何度か聞き、出た割合で見る必要があります。言及率や引用率が「率」なのはこのためです。
AI Overviews経由の流入は自然検索としてカウントされる
GoogleのAI OverviewsやAIモードの回答から自社サイトに来た人は、GA4では普通の自然検索(Organic Search)として記録されます。AI経由だけを切り分けることはできません。
BtoBの担当者は調べものの多くをまだGoogleでしています。いちばん影響の大きい入口がいちばん見えにくい入口でもあります。これがLLMOの効果測定の一番の難しさです。
アプリ経由の流入は直接流入としてカウントされる
スマートフォンのAIアプリでリンクを開くと、どこから来たかの情報が引き継がれないことがあります。この場合、GA4では直接流入(Direct)として記録されます。ChatGPTは外部リンクに参照元のパラメータを付けるので拾える場合もありますが、すべてのAIがそうではありません。
つまり、GA4で見えるAI経由の数字は、実際の下限と考えるのが妥当です。「AI経由は月10件しかない」と見えても、本当はもっと来ています。弊社がフォームで問い合わせを直接数えるのは、この取りこぼしを本人の回答で補うためでもあります。
指標はAIでの露出から問い合わせまでの3段階で考える
最初は3つに絞るとはいえ、指標の全体像は持っておくべきです。弊社は指標を、AIでの露出、サイト訪問、事業成果の3段階に分けて管理しています。段階を分けておくと、数字が止まったときに「どこで止まっているか」がすぐ分かります。
AIでの露出は言及率や推奨の順番で見る
AIでの露出は、AIの回答の中で自社がどう扱われているかを見る段階です。言及率、引用率、シェア・オブ・ボイス、推奨の順番、引用元ページがここに入ります。施策がAIに届いたかを、いちばん早く映す段階です。
サイト訪問はAI経由のセッションと回遊で見る
サイト訪問の段階で見るのは、AIの回答からリンクを押して来た人の動きです。AI経由のセッション数、どのページに着いたか、そこから事例やサービスページまで読んだかを見ます。測れる範囲に穴があるので、絶対値より前月比で見ます。
事業成果は問い合わせと商談と指名検索で見る
事業成果の段階で見るのは、問い合わせ、商談、受注、それに指名検索です。上司や経営層が知りたいのはここです。露出の数字だけを並べた報告は「それで、何件増えたの?」で止まります。
3段階を1つのスコアにまとめない
3段階をまとめて「LLMOスコア」のような1つの点数にするのは避けてください。数字が動いたときに、どの段階が原因か分からなくなるからです。引用は伸びたのに問い合わせが動かない、という状態こそ手を打つべき場面で、それを見つけるために段階を分けています。
無料で見られるのはGA4とSearch Consoleの3つの画面
お金をかけずに取れる数字は、GA4とSearch Consoleの3つの画面にあります。2026年に入ってどちらもAI向けの表示が加わり、以前よりずっと見やすくなりました。ただし、どの画面にも測れない範囲があります。
GA4の「AIアシスタント」チャネルでAI経由のセッションを見る
Googleは2026年5月、GA4のデフォルトチャネルグループに「AI アシスタント」を加えました。ChatGPT、Gemini、ClaudeなどのAIから来た訪問は、設定なしでこのチャネルに分けられます。
- GA4の左メニューで「レポート」を開く
- 「集客」から「トラフィック獲得」を選ぶ
- 表の「セッションのデフォルト チャネル グループ」に「AI Assistant」の行があるか確かめる
- その行のセッション、エンゲージメント率、キーイベントを前月と比べる
このチャネルに入るのは、2026年5月以降の訪問だけです。それより前のAI経由の訪問は「参照(Referral)」に残っています。
拾えないAIは探索レポートで補う
AIアシスタントのチャネルに入るのは、Googleが認識しているAIだけです。認識されていないAIからの訪問は、参照のままです。月に1回、探索レポートで参照元を並べ、取りこぼしがないかを確かめます。
- 「探索」から「自由形式」を開く
- ディメンションに「セッションの参照元」を足して行に置く
- 指標に「セッション」と「キーイベント」を足す
- 参照元を多い順に並べ、chatgpt.com、gemini.google.com、claude.ai、perplexity.aiなどAIのドメインが参照に残っていないかを見る
取りこぼしが多いなら、カスタムチャネルグループで補えます。ただ、BtoBの多くのサイトでは月1回の確認で足ります。
Search Consoleで指名検索の推移を見る
AIで社名を知った人は、あとからGoogleで社名を検索することがよくあります。この動きはSearch Consoleの社名の検索で追えます。
- 「検索パフォーマンス」を開く
- 「クエリ」のフィルタで、社名やサービス名を含むものに絞る(表記ゆれも全部入れる)
- 表示回数とクリック数を月単位で並べ、前年同月と比べる
指名検索は広告やセミナー、展示会でも増えます。増えたからといってLLMOだけの成果とは言えません。AIの言及率の推移と並べて、同じ時期に動いているかを見るのが現実的な使い方です。
生成AIのレポートは表示回数しか出ない
Googleは2026年6月、Search Consoleに生成AIのパフォーマンスレポートを加えました。「検索パフォーマンス」の中にあり、AI OverviewsやAIモードで自社のURLが何回表示されたかを、ページ別、国別、デバイス別、日付別に見られます。
ただし、出るのは表示回数だけです。クリック数も、どんな検索語で表示されたかも分かりません。AI OverviewsとAIモードのどちらで表示されたかも区別できません。弊社はこれを成果の数字ではなく、どのページがGoogleのAIに使われているかを知る材料として見ています。
無料の画面で測れることと測れないこと
| 測りたいもの | GA4 | Search Console | 固定質問(手動) | 計測ツール |
|---|---|---|---|---|
| 言及率・引用率 | できない | できない | できる | できる |
| シェア・オブ・ボイス | できない | できない | 手集計ならできる | できる |
| ChatGPTなどからの流入 | できる | できない | できない | 一部できる |
| AI Overviews・AIモードでの表示回数 | できない | できる | できない | 一部できる |
| AI Overviews・AIモードからの流入 | できない | できない | できない | できない |
| 指名検索 | 一部できる | できる | できない | できない |
| AI経由の問い合わせ | 一部できる | できない | できない | できない |
表の「AI Overviews・AIモードからの流入」は、どの手段でも測れません。ここは測れないものとして、報告にもそう書きます。AI経由の問い合わせをフォームで数えるのは、この穴を少しでも埋めるためです。
AIの回答に自社が出ているかは固定質問で月1回測る
言及率と引用率は、決めた質問を決めた条件で毎月聞き、出た割合を記録して測ります。計測ツールがなくても、スプレッドシート1枚で始められます。弊社はツールを入れる前に必ずこの手動の観測を一度回します。
観測するのはChatGPT・Gemini・Claude・AIモードの4つ
弊社が手動で見ているのは、ChatGPT(Web検索あり)、Gemini、Claude、GoogleのAIモードの4つです。これに加えて、GoogleのAI Overviewsはとくによく確認しています。BtoBの担当者は今もGoogleで調べものをすることが多く、検索結果の一番上に出るAI Overviewsの影響は大きいからです。
PerplexityやCopilotは弊社のお客さまの層ではあまり使われていないので、後回しにしています。どのAIを見るかは、自社の顧客が何を使っているかで決めてください。営業の場で「普段どのAIを使っていますか」と聞いてみるのが一番早い確かめ方です。
ChatGPTはWeb検索を使うかどうかで回答がかなり変わります。検索ありと検索なしは別のAIとして記録します。
質問は指名・比較・課題解決の3つの型で20問用意する
質問は20問ほどを固定し、3つの型に分けて用意します。
| 型 | 質問の例 | 何を見るか | 配分の目安 |
|---|---|---|---|
| 指名 | 「〇〇株式会社はどんな会社ですか」 | 自社を正しく理解しているか | 2割 |
| 比較 | 「BtoBの〇〇支援会社を比較して」 | 競合と並んだとき、何番目にどう書かれるか | 3割 |
| 課題解決 | 「〇〇で困っている。どこに相談すればいい?」 | 社名を出さずに聞いて、自社が思い出されるか | 5割 |
課題解決の型を厚くするのは、BtoBの担当者が実際にAIに聞くのはこちらだからです。社名を入れた質問ばかりで測ると、言及率は高く出ますが、実態とずれます。
一度決めた質問はむやみに変えません。質問を入れ替えると、前月と比べられなくなります。足したいときは、元の20問を残したまま別枠で追加します。
条件はログアウト・メモリオフ・1問1チャットでそろえる
条件をそろえないと、数字が動いても施策のせいか条件のせいか分かりません。最低限、次の3つは毎回そろえます。
- ログアウトした状態か、測定専用のアカウントで聞く。自社をよく調べている担当者のアカウントだと、自社名が出やすくなります
- メモリ(過去のやり取りを覚える機能)を切る
- 1問ごとに新しいチャットを開く
あわせて、聞く日と時間帯も「毎月第1営業日の午前」のように決めておきます。回答はぶれるので、1問につき3回聞いて、何回出たかを数えます。
言及率と引用率の計算式
言及率と引用率は次の式で出します。
- 言及率(%)=自社名が回答に出た回数÷質問した回数×100
- 引用率(%)=自社のURLが出典に出た回数÷質問した回数×100
たとえば20問を3回ずつ聞けば、質問した回数は60回です。そのうち18回で社名が出れば、言及率は30%になります。回数そのものではなく率で見るのは、質問の数を増やしたときに数字が勝手に増えないようにするためです。
回答の中身と誤りは人の目で確かめる
社名が出たかどうかは数えられますが、どう書かれたかは人が読まないと分かりません。読むのは、推奨として挙がったのか、比較の一つとして並んだだけか、注意点として書かれたのか、そして料金や所在地、事業内容に誤りがないか、といった点です。記録表に回答の該当部分を貼っておくと、「候補の1社」から「おすすめの筆頭」に変わったような動きに気づけます。
計測ツールは何を使う?代表的な3つを比較
固定質問を手で回すと、20問を4つのAIで3回ずつ聞くだけで240回になります。続けるのが重くなったら、計測ツールの出番です。ここでは有名どころを3つ挙げ、それぞれでどんなデータが取れるかを並べます。弊社が使っているのはこのうちAhrefs Brand Radarです。
| Ahrefs Brand Radar | Semrush AI Visibility Toolkit | Profound | |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | SEOツールAhrefsの追加機能 | SEOツールSemrushの追加機能 | AIでの見え方を測る専用ツール |
| 対応するAI | AI Overviews、AIモード、ChatGPT、Gemini、Perplexity、Copilot | ChatGPT、GoogleのAI機能、Gemini、Perplexity | ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexity、AI Overviewsなど |
| 取れるデータ | 言及数、引用数、AIでのシェア・オブ・ボイス、言及が出た質問の一覧、引用元 | 固定質問の日次追跡、競合比較、回答の論調、質問の調査、AI向けのサイト診断 | 言及、引用、シェア、引用元の分析、競合比較 |
| 質問の作り方 | Ahrefsのキーワードデータから作った大量の質問で、設定なしに見られる。自分の質問も追加できる | 自分で決めた質問(基本25件)を追う | 自分で決めた質問を追う |
| 料金の目安 | Ahrefsの有料プランへの追加 | 1ドメイン月99ドルから | 月99ドルの入門版から。大企業向けは個別見積もり |
| 向いている会社 | すでにAhrefsでSEOを見ている会社 | すでにSemrushを使っている会社 | AIでの見え方を本格的に追う大企業 |
料金と対応AIは変わりやすいので、契約前に各社の公式ページで確かめてください。
Ahrefs Brand Radarは設定なしで競合と比べられる
Ahrefs Brand Radarの強みは、自分で質問を用意しなくても、Ahrefsが集めた大量の質問の中で自社と競合がどれだけ言及されているかを見られることです。弊社がシェア・オブ・ボイスを見ているのもこのツールです。どの質問で競合が挙がり、自社が挙がっていないかも一覧で分かるので、次に作るべきページの手がかりにもなります。
一方で、大量の質問は一般的な検索語から作られています。ニッチなBtoBの領域だと、自社にとって大事な質問が含まれていないこともあります。その場合は、自分の質問を追加するか、手動の観測と併用します。
Semrush AI Visibility Toolkitは決めた質問を毎日追う
Semrush AI Visibility Toolkitは自分で決めた質問を毎日追いかけるのが得意です。基本の枠は25件で、自社と競合の出方、回答の論調まで見られます。手動の固定質問をそのまま自動化したい会社に向いています。
ProfoundはAIでの見え方を測る専用ツール
ProfoundはAIでの見え方を測る専用ツールとして最も知られた存在です。対応するAIの幅が広く、引用元の分析も深い一方、本格的な利用は大企業向けの価格帯になります。予算を抑えて試したいなら、月29ドルから使えるOtterly.AIのような入門向けのツールもあります。
ツールを入れるのは手動で1〜2回回して質問を絞ってから
いきなりツールを入れるより、まず手動の固定質問を1〜2回回して、自社にとって大事な質問を絞ることをおすすめします。月240回の手動観測を何か月も続けるのは重く、続かずにやめる原因になります。どの質問が大事か、どこに時間がかかるかが分かってから選んだほうが、無駄な契約になりません。月数千円から使える計測ツールもあるので、質問が絞れたら早めに切り替えて構いません。ツールはAIでの露出を測るのは得意ですが、推奨として書かれたのか、誤りがないかを読むのは人のほうが確かです。
ツールの細かい比較は別の記事「LLMO対策のツール」で扱っています。
効果が出るまでの期間は?指名系は1〜3か月で比較系は半年〜1年
弊社の実感では、社名を名指しした質問で正しく説明されるようになるまでは、早ければ1〜3か月です。一方、比較や課題解決の質問で名前が挙がるようになるまでは、半年から1年かかります。効果測定の数字もこの時間差を前提に読みます。
比較系の質問に時間がかかる理由
指名系が早いのは自社サイトの会社概要やサービス説明を整えれば、AIがそれを読んで説明を直すからです。比較系が遅いのは、AIが「この分野ならこの会社」と覚えるには、自社サイトの外、つまり第三者のメディアや比較記事、口コミで繰り返し名前が出る必要があるからです。
弊社が2026年9〜10月に行ったBtoBマーケティングにおけるAI検索対策実態調査でも、半年以上続けている人の83.2%が効果を実感していました。3か月で判断するのは早すぎます。
競合が強いなら特定のカテゴリーに絞って先に取る
大手の競合がひしめく領域では、広いカテゴリーの比較質問で名前を出すのは簡単ではありません。その場合は、「〇〇業界に強い」「名古屋の」のように、自社が勝てるカテゴリーに絞って先に取ります。狭い質問で推奨されるようになってから、広い質問に広げていくほうが、数字も早く動きます。
公開事例に見る効果が出るまでの期間
クライアントの数字は出せないので、公開されている事例から期間の目安を拾います。
| 事例 | 何をしたか | どのくらいで何が動いたか |
|---|---|---|
| Lumiciteの支援事例 | AIがどこから情報を取っているかを調べ、偏りを直すコンテンツを投稿 | 投稿から3週間ほどで言及率が14.3%向上したと報告 |
| sai X aidの自社サイト | 既存コラムの改修と、AI経由の流入を分けて測る計測の見直し | 2025年10月〜2026年2月の約5か月で、AI経由の流入が約6倍、問い合わせが約10倍 |
早い事例はありますが、どちらも1社の結果です。弊社の実感と同じく、比較系で安定して名前が出るまでは半年以上を見ておくのが安全です。
数字が動いた原因が施策とは限らない
AIの回答はAI側の仕様変更だけでも大きく動きます。施策の前後だけを比べると、効果を大きく見誤ります。Ahrefsが2026年5月に公開した検証では、構造化データを加えたページのAIモードでの引用は、前後比較だと43%増に見えました。ところが、何もしていないページの伸びを差し引くと、増えたのは2.4%だけでした。
自社でここまで厳密にやる必要はありません。ただ、施策をしていないページや質問も一緒に記録しておくと、「全体が伸びただけ」を見分けられます。
数字が伸びないときはどこで止まっているかを見る
弊社が見てきたなかで多いのは、測れていないケースより、次の2つです。引用や言及は増えたのに問い合わせにつながらないケースと、結果が出る前に待てずにやめてしまうケースです。
| 状態 | 考えられる原因 | 次にやること |
|---|---|---|
| 指名系の質問でも説明が間違っている | AIが自社の情報を正しく拾えていない | 会社概要やサービス説明を整え、社外の表記もそろえる |
| 指名系は正しいが比較系で名前が出ない | カテゴリーと自社が結びついていない | 勝てるカテゴリーに絞り、第三者メディアへの掲載を増やす |
| 言及や引用は増えたが問い合わせが動かない | 引用されているのが用語解説などで、推奨されていない | 比較や事例のページを厚くし、引用されたページに問い合わせへの導線を置く |
| 数字が上下するだけ | 質問や条件が毎回違う、または期間が短い | 質問と条件を固定し直し、半年は同じ形で測る |
待てずにやめてしまうのを防ぐには、始める前に「何か月で、どの数字がどこまで動かなければ見直すか」を決めておくことです。弊社では、比較系の数字は半年を一つの区切りにしています。
効果測定は観測を社内で回し分析を外部に頼む
効果測定を全部外に任せる必要はありません。弊社のおすすめは、毎月の観測と記録は社内で回し、数字が止まったときの原因の切り分けと次の打ち手を外の知見で補う形です。
観測と記録は社内のほうが向いている
決めた質問を決めた条件で聞いて記録するのは、判断のいらない作業です。しかも社内の人が回したほうが、AIの書き方の変化に気づきやすくなります。「うちの強みはそこじゃない」「その料金は古い」と分かるのは、自社をよく知る人だけです。GA4とSearch Consoleの確認、フォームでの問い合わせの集計も、日々の業務に組み込めます。
原因の切り分けと次の打ち手は外部の知見が役立つ
一方で、言及率が落ちた原因の見立てや、どのカテゴリーに絞るか、どの第三者メディアに載るべきかは、複数の会社を見てきた経験が役に立ちます。外に頼むなら、レポートを作ってもらうより、「この数字なら次に何をするか」を相談するほうが費用対効果は高くなります。
支援会社の報告を受ける側は、次の3つを確かめてください。
- 言及率は「率」で出ているか。回数の絶対値だけでは、質問を増やせば数字も増えます
- 自社名を入れた質問の結果だけで良く見せていないか。課題解決や比較の質問でどうかが大事です
- 測れていない範囲が書かれているか。AI Overviews経由の流入が測れないことに触れていない報告は、前提が抜けています
LLMOの効果測定でよくある質問
LLMO診断とは
LLMO診断は自社サイトやブランドがAIにどう扱われているかを、ある時点で点検することです。無料の診断ツールも増えています。ただ、診断は1回の写真です。効果測定は同じ条件で毎月測り、変化を追う点が違います。診断で現状をつかみ、そのあと固定質問で定点観測に移るのが自然な流れです。
LLMO対策そのもののやり方
効果を測る前に、何をすればAIに取り上げられるかを知りたい方は、別の記事「LLMO対策のやり方」をご覧ください。弊社が支援先で最も効果を感じたのは、第三者メディアへの掲載でした。
無料のツールだけで効果測定はできるか
できます。AI経由の流入はGA4、指名検索とAI Overviewsでの表示回数はSearch Console、言及率と引用率は手動の固定質問で取れます。問い合わせはフォームで数えます。ただ、複数のAIを毎月測ると手間がかかるので、続けるのが重くなったら計測ツールを検討してください。
固定質問は何件用意するか
20件ほどから始めるのが現実的です。指名、比較、課題解決の3型をバランスよく入れてください。件数より、同じ質問を同じ条件で聞き続けることのほうが大事です。
この記事の監修者

中川 裕貴
株式会社プロベル SEO顧問
NYマーケティング株式会社 代表取締役
SEO実務歴16年。大規模データベース型サイト・ポータルサイトのSEOを得意とし、月間1億PV規模のポータルサイトの成長を牽引。SEO分析ツール「NYSEO」の開発や、有料SEOコミュニティ「SEO Decision」の運営も手がける。プロベルでは、サイト構造や技術的SEO、LLMO・AI検索対策の戦略立案と改善を担う。