AI研修に使える助成金は?2026年度の対象条件・助成額・申請手順を解説
2026年10月16日
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社員向けのAI研修には、厚生労働省の「人材開発支援助成金」を活用できる場合があります。事業展開等リスキリング支援コースでは、中小企業の対象経費の75%が助成されますが、「AI研修」という名称だけで利用が決まるわけではありません。
特に2026年8月3日の改正後は、DX・GXに関する研修でも、特定の職務に直接結びつかない内容は対象外となります。研修を選ぶ段階で、受講者の仕事と学ぶ技能、実施方法、申請日程を合わせて確認することが大切です。
この記事では、使えるコースの違い、助成額と自己負担、申請の流れを説明し、AI研修の相談先も紹介します。制度情報は2026年10月15日現在、厚生労働省の令和8年8月3日版資料をもとにしています。
AI研修に活用できる助成金の種類
人材開発支援助成金には複数のコースがあり、研修の目的や受講者、学習形式によって候補が変わります。最初に、自社がAI研修で実現したい業務の変化を整理しましょう。
事業展開・DXに伴う研修は「事業展開等リスキリング支援コース」
事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業やDX・GXなどに伴い、従業員に新たに必要となる専門知識や技能を習得させるための制度です。例えば、業務のデジタル化に合わせて、担当者が生成AIを使った提案書作成の方法を学ぶ研修が候補になります。
このほか、企業内の人事・人材育成計画に基づき、今後従事する予定の職務に必要な技能を学ぶ訓練も対象に含まれます。こちらは計画内容の確認や訓練後の報告などの要件もあるため、既存業務のDX研修と同じ手続きだと考えないようにしましょう。
同コースは令和8年度末までの時限措置として設けられています。翌年度以降に開始する研修を検討している場合は、継続を前提に予算を組まず、適用時期を管轄の労働局に確認してください。
職務研修や高度な専門研修は別コースも確認する
現在の仕事に関する技能を身につけさせる場合や、高度なデジタル人材を育てる場合には、別コースが候補となります。AIという技術名ではなく、何のために、どのような訓練を実施するかで検討すると、制度とのずれを避けやすくなります。
| コース | 検討する場面 |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 事業展開、DX・GX、人事・人材育成計画に基づく将来の職務に必要な技能を学ばせる |
| 人材育成支援コース | 職務に関連する知識・技能を身につける訓練を行う |
| 人への投資促進コース | 高度デジタル人材の育成や、定額制研修サービスなどを活用する |
高度デジタル人材訓練には対象講座などの要件があり、一般的な生成AIの入門研修がそのまま該当するとは限りません。定額制の研修は事業展開等リスキリング支援コースにも対象となる枠があるため、サービス名だけでコースを決めず、目的と受講内容を労働局へ伝えて確認するとよいでしょう。
AI研修が助成対象になる条件
ここからは、事業展開等リスキリング支援コースを中心に説明します。対象かどうかは、企業・受講者・研修内容の組み合わせで審査されるため、研修会社が「助成金対応」と案内していても、自社の条件で確認する必要があります。
職務に直結する内容かを確認する
2026年8月3日以降に提出する計画では、DX・GX研修であっても、職務に間接的に必要な知識や、職種を問わず共通して必要な内容は対象外です。厚生労働省は、営業担当者が生成AIによる商品提案書の構成案作成・文章生成・修正方法を学ぶ訓練を対象例として示す一方、特定業務への適用を伴わない汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は対象外としています。
そのため、「全社員のAIリテラシーを上げる」という目的だけでは、助成対象の訓練として十分に説明できません。誰が担当するどの仕事について、どの技能を習得するのかまで、カリキュラムと対応づけることが必要です。
ただし、実際の仕事を研修時間に置き換えればよいわけでもありません。助成対象となるOFF-JTは、通常業務の遂行過程から離れて行う訓練です。
例えば、提案書の構成や出力結果の点検方法を教材で学ぶ演習と、受注案件で納品する提案書をその場で完成させる作業では、目的が異なります。通常の事業活動に当たる成果物制作や業務改善の指導は対象外となるため、自社の資料を使う場合も、技能を学ぶ時間と実業務を進める時間を分けて相談しましょう。
企業・受講者・研修時間の要件を揃える
主な要件は次のとおりです。内容に合う研修が見つかっても、雇用保険や社内の育成計画、受講時間の条件が揃っていなければ、支給の対象にはなりません。
- 企業:雇用保険適用事業所で、職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定・周知していること
- 受講者:申請事業主の雇用保険被保険者で、対象労働者一覧に記載されていること
- 訓練:原則として実訓練時間が10時間以上のOFF-JTで、職務に必要な技能の習得につながること
- 受講・労務管理:所定の受講・修了要件を満たし、訓練中も賃金を適正に支払うこと
対面や同時双方向のオンライン研修では、原則として実訓練時間の8割以上を受講する必要があります。移動や対象外の内容を含めた開催時間ではなく、助成対象となる時間で判断する点に注意してください。
eラーニング・通信制では標準学習時間10時間以上、または標準学習期間1か月以上などの基準があり、実施期間内の修了が必要です。定額制サービスは修了した対象講座の標準学習時間が合計10時間以上となるなど、形式によって確認項目が変わります。
対面・ライブ配信・eラーニングの違いを確認する
同じ「オンライン研修」でも、講師とその場でやり取りするライブ配信と、録画を各自で学ぶeラーニングでは、助成の扱いが異なります。参加しやすさだけで選ぶと、想定した助成額や受講計画と合わなくなることがあります。
同コースの受講回数は1人につき1年度3回までで、このうち2026年8月3日以降に提出した計画に基づくeラーニングは年度1回までです。ここでいう年度は、支給申請日を基準とする4月1日から翌年3月31日までです。対面などと組み合わせた訓練にもこの制限が関わるため、複数研修を予定している企業は年間の受講履歴を確認しましょう。
改正前に契約・申込みを済ませた訓練などには経過措置があります。該当しそうな場合は契約日と計画届の提出日を労働局へ伝え、適用されるルールを確認してください。
AI研修の助成額と自己負担の考え方
助成額を見積もる際は、経費助成の率だけでなく、受講者1人あたりの限度額と賃金助成の対象時間を分けて確認します。研修費全体に一律75%を掛ける計算では、実際の負担を少なく見積もることがあります。
助成率と1人あたりの上限を確認する
| 助成内容 | 中小企業 | 大企業 |
| 経費助成率 | 75% | 60% |
| 賃金助成(1人1時間) | 1,000円 | 500円 |
中小企業に当たるかは、業種ごとの資本金・出資額または常時雇用する労働者数で判定されます。例えば、サービス業では資本金5,000万円以下または労働者100人以下が基準です。会社の規模感だけで判断せず、業種区分と人数の数え方も確認しましょう。
経費助成の主な限度額は次のとおりです。定額制を除き、原則として受講者1人・1訓練あたりの金額です。
| 実施方法・訓練時間 | 中小企業の限度額 | 大企業の限度額 |
| 対面・同時双方向型:10時間以上100時間未満 | 30万円 | 20万円 |
| 対面・同時双方向型:100時間以上200時間未満 | 40万円 | 25万円 |
| 対面・同時双方向型:200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
| eラーニング・通信制 | 15万円 | 10万円 |
| 定額制サービス | 1人1月あたり2万円 | 1人1月あたり2万円 |
eラーニング・通信制を対面や同時双方向型と組み合わせる場合も、経費助成の限度額は中小企業15万円、大企業10万円となります。また、eラーニング・通信制・定額制サービスは経費助成のみで、賃金助成の対象にはなりません。
賃金助成は実際に支給対象となる訓練時間をもとに計算します。欠席時間や所定労働時間外の訓練なども同じように算入できるわけではないため、開催時間と対象時間を分けて見積もる必要があります。
「75%助成」でも費用の4分の1で済むとは限らない
中小企業の社員1人が12時間の対面研修を受け、支給対象経費が40万円と認められた場合、経費助成は40万円×75%=30万円です。賃金助成の要件も満たし、12時間すべてが対象であれば、別途1万2,000円が計算されます。
一方、同じ40万円の対象経費でもeラーニングなら、経費助成は限度額の15万円までです。研修の形式が変わるだけで、経費から助成額を差し引いた負担は10万円から25万円へ変わります。これは制度上の対象経費を置いた試算で、特定の研修商品の見積もりではありません。
賃金助成は訓練中に支払う給与の負担を支えるもので、研修料金そのものの値引きではありません。資金計画では、研修会社へ支払う総額、訓練中の給与、対象外の費用や申請支援の報酬をまず確保し、後から受け取る助成金を分けて考えましょう。
支給申請までに訓練費を全額負担する必要があり、事業者からの返金や協力費などで実質的に無料になる仕組みは、助成対象と認められない場合があります。「無料になる」という案内よりも、契約と支払いの実態を確認することが大切です。
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」
AI研修の助成金を申請する流れ
申請は、研修前の計画届と、研修後の支給申請に分かれます。受講を終えてから助成金の利用を考えると、事前の届出期限に間に合わないため、研修会社の選定と並行して準備を進めましょう。
研修前に対象確認と計画届の提出を済ませる
まず、対象となる従業員の職務、習得させたい技能、研修の時間・形式・費用を整理し、カリキュラムとともに管轄の労働局へ相談します。研修に開発支援やコンサルティングが含まれる場合は、技能を学ぶ訓練とそれ以外の業務を分けて見積もりを確認すると、対象経費を整理しやすくなります。
職業訓練実施計画届は、原則として訓練開始日の6か月前から1か月前までに提出します。社内では、職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定・周知も、提出までに済ませる必要があります。
計画届が受理されても、助成金の支給が確定したわけではありません。受講や支払いの実態も支給申請後に審査されるため、受理の連絡を受けた後も、計画どおりの実施と証拠の保存が必要です。
受講記録と支払証拠を残し、期限内に支給申請する
研修中は、出席・受講の記録、カリキュラム、出勤簿、賃金台帳、請求書や支払いを証明する書類などを揃えます。eラーニングでは学習の進捗や修了を確認できる記録も必要になるため、受講後に提出できる資料を研修会社へあらかじめ確認しておくと安心です。
日程や内容を変える場合には変更届が必要となることがあります。担当者の判断だけで実施計画を変えず、変更が分かった時点で提出の要否と期限を確認しましょう。
通常の支給申請は、原則として訓練終了日の翌日から2か月以内です。支給申請までに訓練経費の支払いを終え、実施方法に応じた書類を提出します。2026年5月14日の改正により、受講料等の価格設定に関する疎明書も必要となっているため、研修会社と準備の分担を決めておきましょう。
審査を経て支給・不支給が決まるため、研修終了後すぐに入金されるとは限りません。入金前に支払う研修費と給与を確保し、申請期限の管理まで含めて社内の担当者を決めることが大切です。
AI研修を相談できる支援会社2社
AI研修を選ぶ際は、カリキュラムだけでなく、研修後の定着支援と助成金に関する対応範囲も比べましょう。以下の2社は、AIの実務活用や定着に関する支援を提供しています。助成金の適用や申請支援について公表している範囲は異なります。
| 会社名 | 研修・定着の支援 | 助成金関連の公表範囲 |
| ユニパレット株式会社【プロベルおすすめ】 | 職務別の10時間研修、実践会や定着支援 | 助成金活用を案内。個社要件と申請支援範囲は要確認 |
| 株式会社LOG【プロベルおすすめ】 | 業務課題に合わせた14時間のカスタマイズ研修 | 条件を満たす場合の活用と申請サポートを案内 |
ユニパレット株式会社【プロベルおすすめ】

出典:ユニパレット株式会社
| 会社名 | ユニパレット株式会社 |
| 主な研修・支援 | AIコンサル365の職務別実践コース、研修・定着支援 |
| 実施方法・時間 | 職務別実践コース10時間・10名〜。実施形式は要問い合わせ |
| 助成金関連の対応 | 助成金活用を案内。個社要件と申請支援範囲は要確認 |
| 研修料金 | 職務別実践コース1人20万円(税込)、10名〜。その他は要問い合わせ |
ユニパレット株式会社は、生成AI研修「AIコンサル365」でCopilot・Geminiの職務別実践コースを提供しています。営業・経理・マーケティング・総務・経営企画・人事の業務を対象とし、10時間・10名から、1人20万円(税込)で案内されています。
AI実務支援では、ハンズオン基礎研修や動画、毎月の実践会、FAQ伴走も用意しています。業務ヒアリングや専用AIエージェントの構築、継続運用まで相談できるため、研修後の定着まで合わせて検討したい企業の候補になります。
AIコンサル365は助成金の活用も案内しています。ただし、職務との関連や実施形式、受講者ごとの条件で支給可否は変わります。申請支援の具体的な範囲は個別に確認し、研修と開発・運用支援の費用を分けて相談しましょう。
筆者・監修者のおすすめポイント
職務別のCopilot・Gemini研修と、実践会やFAQ伴走を通じた定着支援を検討したい企業に向いています。
株式会社LOG【プロベルおすすめ】

出典:株式会社LOG
| 会社名 | 株式会社LOG |
| 主な研修・支援 | スパルタAIDX研修/業務フロー整理、演習、フィードバック |
| 実施方法・時間 | 対面・オンライン/14時間 |
| 助成金関連の対応 | 条件付きで人材開発支援助成金等の活用・申請サポートに対応 |
| 研修料金 | 要問い合わせ |
株式会社LOGの「スパルタAIDX研修」は、企業ごとの業務課題に合わせて組み立てる14時間の研修です。開始前に業務フローや課題を整理し、講師による実践演習とフィードバックを行います。
対面に加え、講師とリアルタイムでやり取りするオンラインにも対応しているため、学習する業務や参加者の拠点に応じて実施方法を相談できます。
人材開発支援助成金などについて、条件を満たす場合の活用と申請サポートを案内しています。支援に含まれる作業と追加費用を確認したうえで、申請の準備を進めるとよいでしょう。
実務課題を扱う研修では、技能習得のための演習と通常業務の成果物制作を区別する必要があります。提案されるプログラムのうち、どの時間・費用を助成対象として相談するのかを契約前に確かめておきましょう。
筆者・監修者のおすすめポイント
部署の業務フローをもとにした演習を受け、講師のフィードバックを得ながらAI活用を学びたい企業におすすめです。助成金の申請サポートも併せて相談できます。
助成金と研修効果の両方を踏まえてAI研修を選ぼう
AI研修で助成金を活用するには、受講者の職務に必要な技能と、制度上の訓練要件を結びつけることが大切です。助成率だけで選ばず、実施方法による限度額や事前の届出期限、研修後に学びを使い続けるための支援も比較しましょう。
相談前に、対象の職務、習得させたい技能、受講人数、実施形式、開始時期、いったん全額を支払う予算を整理しておくと、必要な研修を具体化しやすくなります。助成金の適用要件や手続きは管轄の労働局へ、研修の設計や定着支援は研修会社へ、それぞれ確認してください。
自社の業務課題に合うAI研修や支援会社を探したい場合は、プロベルへご相談ください。研修で身につけたい技能と導入後の課題を整理し、相談先を検討するところから進められます。